人生のバイブルが入れ替わった話

今まで人生のバイブルといえば、ハンターハンターコードギアスエウレカセブン鋼の錬金術師だった。

バナナフィッシュ?なんかすごく昔の漫画らしいけど、往年のオタクがバナナフィッシュのアニメ化にすごくざわついている。

何が魅力的なのか知らないけど、なんかやばいらしい。

そんな軽い気持ちで、いやいや今まで出会った漫画やアニメには負けるでしょ、と正直なめていた部分もあった。

確か20冊くらい漫画をレンタルしたときに、バナナフィッシュを読むのが億劫で、別に最後まで読まなくてもいいかなーなんて思いつつパラ見し始めたのがすべての始まりだった。

文庫サイズの漫画って珍しいな、昔の漫画だから思い切ってこんなサイズにしたんだろうなーとか。

すげーアニメイトにも在庫あったけど、正直あんなにおいて売れるのか?とすら思っていた。

まあ、読んでみるか、外国の話苦手なんだよなーつーかバナナフィッシュて。。。

って。

今はもう出会うくらいだったら読まなくてもよかったんじゃないかと、半分感謝と半分後悔が入り混じる。

アッシュの本名はアスラン・ジェイド・カーレンリース。

アスランは暁、夜明けを意味して、ジェイドは翡翠という意味だそうだ。

本当に夜明けが似合う美少年だったと思う。

珍しいグリーンアイズ。真っ白でそばかす一つない、きれいな肌をしている。

性別を告げられなかったら男の子だとは気づかないくらいに。

 

アッシュは本当にひどい生い立ちだった。

銃社会に生まれ、家庭も複雑、幼少期にレイプされ、数人を殺している。

そして人身売買の商品として出され、裏社会のボス、ディノに飼われてしまう。

そんな最低な日々の中で、日本人の奥村英二と出会う。

アッシュが英二と出会ったことは、運命だったのか今はもうわからない。

でも、確実なことは彼らが運命を超えて、惹かれあったこと、愛とか絆とか友情とかそのような言葉でくくられるような関係ではなかったこと。

お互いが必要とし、共に生きたいと、言葉を交わさずとも願っていたと思う。

アッシュにとって英二は陽だまりのような人でまぶしくて美しい人だったのではないかと思う。

ずっとそばにいてくれと、英二の膝の上で泣いたこと。

たわいもない会話でちょっと喧嘩してみたり。

かぼちゃが怖かったり。

英二といるときは、等身大のアスランだった。

ブランカも伊部さんも同じことを言っていた。英二といるときはこんなに笑顔なのに、普通の男の子なのに。張りつめた空気を察知すれば、アッシュとしての顔になってしまう。

でもそれは彼が悪いんじゃない。そうしなければならなかったからだ。

いつしか、英二が撃たれ、生死の境をさまよっていたころ。

アッシュは神様にお願いした。

どうか英二を連れて行かないでくれ、頼むから、俺を。

神様がいるのなら、なぜその願いをかなえたのだろうか。

野球チームの監督にレイプされ、殺したとき。

人身売買のお店に商品として出されたとき。

ディノに飼われたとき。

もっと、もっと神様がアッシュの願いをかなえてあげられる機会はあったはずなのに。

こんなにも苦しい人生を歩んだアッシュに数年間でも安らぎを与えてくれることはなかった。

でもきっと英二に出会えたその数か月でアッシュは一生分の幸福を手に入れたのだと思う。

俺は今幸福なんだ。そう、ブランカに言ったとき、もう戻れないところまで来てしまったのだと思った。

自分の命に代えてでも、英二を守りたいと。

アッシュが幸福だと思えばそれは間違いなく幸福ではあると思う。

でもともに生きてほしいとわたしも英二も思っていた。

見返りもなく、心配してくれて、あたたかい場所で待っていてくれた。

普通のことが、アッシュには普通じゃなかった。

英二は英二なりに、アッシュを気遣い、理解してくれていたのだと思う。

もうこんなことはやめて日本で一緒に暮らしてほしかった。

アッシュには人並みの 普通 を感じてほしかった。

雪山の頂上を目指していた豹は死に際に何を考え、思っていたのだろう。

今でも二人は私の中で生き続ける。

厳しい社会の中でも、二人は確かに存在して、一生懸命、生きていた。

大人たちの私利私欲のために、穢された体と心。

もう、そんなものにおびえなくていい。

でも、アッシュが苦しんでいた中にも英二という光を感じられていたのなら、もうそれだけでいい。

これで一生、アッシュは英二のもの。

英二はアッシュのものになった。

誰かに命を脅かされることも。

逃げて逃げて、おびえることも。

もうしなくていい。

一生、二人は魂でつながっている。

英二があの手紙につづったように。

最後のひと時まで、アッシュは英二のことを案じ、思っていた。

その事実があっただけでいい。

願わくば、天国で二人が再会できるよう。

そのくらいしか、私にはできない。

 

しばらくたったらまた大切に読み返したいと思う。

アッシュ・リンクスという人間の生き様を。